【インド新規事業立ち上げ物語】(第145話)『ジョハド』と『エリ』


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ 現在Goziokiでは「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の立ち上げ準備を進めている
※ ”SALSH”を通じて、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動を後押しすることを意図している
※ インド現地での動きについては出張の総括動画をご参照

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豊な文化遺産と多様な伝統的知識で知られるインドでは、これまでに蓄積されてきた知識・知見の多くが将来のサステナビリティを考える上で活かされていることが多い。

インドのオーガニック農法である『ジャイヴィック農法』については、以前に紹介している。
(第132話)『ジャイヴィック農法(Jaivik Kheti)』とサステナビリティ

今回の投稿では、インドの伝統的な雨水利用の仕組みである『ジョハド』と『エリ』を見ていきたい。

1.ジョハド(Johad)

ジョハドはインド北西部ラジャスタン州に古くから伝わる、雨水貯蔵のための貯水池のことである。ラジャスタンのような乾燥地域で、乾期に備えるに当たっての問題の解決策として使われてきている。

ジョハドは主に土や石で作られ、自然の地形を利用して雨水を捕らえていく。この水は農業の灌漑や家畜の飲み水、さらには人々の日常生活用水として利用される。ジョハドにより地下水位が上がり、乾期でも水が利用できるようになり、結果として(水が地面に浸透することで)周辺の土地が肥沃になり、植物が生い茂るといった好循環を作っている。

2.エリ(Eri)

エリはインド南部タミルナドゥ州に伝わる伝統的な水管理システムの一つで、主に水溜りや池を意味している。雨季に雨水を集め、貯蔵するために作られた人工の水源であり、農業の灌漑や地域住民の生活用水の確保に役立っている。

タミルナドゥは気候が熱帯で、年間を通じて温暖であるが、雨季と乾季がはっきりと分かれている。雨季と乾季で降水量の差が激しいため、雨季に集めた水を乾季に効果的に利用する必要がある。

3.両者の違い

雨水を貯蔵して乾季に備える点では両者は同じである。ただジョハドでは小さな池など自然地形を利用するのに対して、エリでは池などが人工拡張されるケースもある。ジョハドでは地下水位の維持が注力される一方、エリでは灌漑や生活用水などより直接的な利用を意図している。また大前提として地域が異なる(ジョハドは主にラジャスタン州、エリは主にタミルナドゥ州)。

このような伝統的なアプローチを通じたサステナビリティの実現には、インドらしさが色濃く出ている。

最後に、雨水利用からは外れるが、同じ「水」というテーマで、以下を参考までに載せておく。
(第138話)ウォーターATM

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