【インド新規事業立ち上げ物語】(第125話)開発のアウトソースはスタートアップにとって悪か?


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ 現在Goziokiでは「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の立ち上げ準備を進めている
※ ”SALSH”を通じて、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動を後押しすることを意図している
※ インド現地での動きについては出張の総括動画をご参照

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1.スタートアップにおける開発

Goziokiでは”SALSH”というSaaSを作ろうとしているが、その開発はアウトソースしている。プロトタイプ版は既にBuilder.aiに作ってもらっていて、この後、ベータ版も同じくBuilder.aiに作ってもらう予定でいる。その更に先になると、正直どのように開発を進めていくのかはまだ見えていない。

開発に際して、自分たちでエンジニアを雇用する方法(自社開発)とアウトソースする方法がある。Goziokiでは、最初から何か明確な方向性を持っていた訳ではなく、漠然と「さすがにプロトタイプ版は、自分たちの資金状況を踏まえるとアウトソースになるかな」ぐらいに考えていた。資金調達していない時点のスタートアップは資金にゆとりがない。

2.ベンガルールの衝撃

そのように考えている時に、ちょうどインドのベンガルール(バンガロール)でBuilder.aiのエンジニアたちと運命的な出会いを果たす。インド人のエンジニアたちは、私が持っている「エンジニア」のイメージとは大きく異なるものであった。

もちろん「それは単にあなたがこれまで見てきたエンジニアの数が少ないのでは?」との指摘もあるかもしれない。ただそうだとしても、私がインド人のエンジニアたちから衝撃を受けた事実に変わりはない。

【インド新規事業立ち上げ物語】(第5話)インドのシリコンバレーの洗礼

このベンガルールの衝撃がトリガーとなり、Goziokiはプロトタイプの開発を一気に進めていくことになる。

3.客観性の担保

どんなタスクでも、アウトソースすることには「客観性の担保」というメリットがあると個人的には思っている。タスクはインハウスで対応しても、アウトソースしても、「作業工程」は同じである。ただ人間はどうしても置かれた環境が、視野の広さの限界になりがちな生き物。

例えば、私がインド人のエンジニアにベンガルールで魅力を感じた理由の1つに「アグレッシブな逆提案」がある。このとき「このエンジニアはこれまでの多様な経験に基づいて逆提案をしてきている」と感じた。つまり自社でエンジニアを雇用した場合、同じような動き方を望めるのかどうかには疑問があるということ。

開発をインハウスで対応しないことで、客観性を担保しながら、常に最先端のテクノロジーに触れ続けることができる面はあると思う(繰り返しになるが、インハウスではそれらが実現不可能と述べているものではない)。

4.Pros & Cons

以上のことを踏まえると、当たりの前の結論かもしれないが、自社開発とアウトソースを比較したときに「絶対的な正解」などない。どちらにもPros/Consがある。

その上で、外部に対して”SALSH”の説明をしていくと、様々な意見を頂戴する。

• Goziokiの今のフェーズでは、アウトソースが正解。ただ将来的には自社開発を考えても良いかもしれない

• 最新技術の活用や、スピード感といった観点で「アウトソースすることによるメリット」を上手に取り込めている

• 正直に言って、開発をアウトソースしていることはネガティブに映る。自社に開発リソースがないのは、スタートアップとしては弱点

色々な意見があり、それらの全てが参考になる。Goziokiでは自社開発に拘っている訳でも、アウトソースに拘っている訳でもなく、最適な対応をしていきたいだけである。足元では資金の観点からアウトソースせざるを得ない状況があるが、その状況すらポジティブに捉えつつ、先々でどうしていくのかについてはフレキシブルである。

5.完全否定されたとき

「自社に開発リソースがないのはその会社の弱点だ!」とGoziokiにおける”SALSH”の進め方を否定されたとき、こちらのスタンスを説明する最低限の努力はもちろんするものの、それ以上に「いや、アウトソースにも良い面があるんです!」と激しく反論することはあまりしていない。

これはある種「宗教」みたいなところがあって、「スタートアップにおける開発のアウトソースは悪」と信じてやまない人たちのマインドを変えることはそう簡単ではない。

またこの手の議論になったとき、「エンジニアに対して何を求めているのか」の目線も合っていないように思う。別に私はBuilder.aiの回し者ではないが(笑)、Builder.aiのインド人エンジニアたちと真剣に20分も議論すれば、アウトソースに対する印象も変わってくるのではないだろうか。

6.結論

色々と述べてきたが、シンプルに、インド人エンジニアたちとの日々の会話があまりにも刺激に満ち溢れたものであるため、Goziokiと”SALSH”はもうしばらく今のまま走っていく考えである。そして先々でどうしていくのかについては常にフレキシブルである。

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