【インド新規事業立ち上げ物語】(第168話)活かされなかった「ボパール工場事故」の教訓


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ Goziokiでは「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の開発を進め、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動の後押しを目指している
※ インド現地での動きなどについては出張の総括動画をご参照

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前回の投稿で触れた「ボパール工場事故」から36年が経過した2020年、インドでは再びガス漏れ事故が発生してしまった。今回の投稿では、インドのアーンドラ・プラデーシュ州で発生したスチレンガス漏れについて見ていく。

1.「ビザカパトナムのガス漏れ事故」の概要

2020年、インドのアーンドラ・プラデーシュ州ビザカパトナムで発生した悲劇は、世界中に衝撃を与えた。LGポリマー工場でスチレンガスが漏れ、多くの住民が影響を受け、13人が死亡した。この事故は、1984年に発生した「ボパール工場事故」を思い起こさせるものであったが、なぜ「ボパールの教訓」が活かされなかったのか。

(Wikipedia)ビザカパトナムのガス漏れ事故

2.「ボパール事故」からの教訓

1984年の「ボパール工場事故」は、化学工業史上最悪の災害とされ、数千人の死者を出した。その後、産業安全管理の改善と緊急対応プロトコルの確立が求められたが、「ビザカパトナムの事故」はこれらの教訓が十分には浸透していなかったことを示している。

【長期間のギャップ】36年もの時間が経過し、出来事としての「ボパール事故」が風化していっていた事実は否めない。

【伝承の限界】(同じようなことを言い換えであるが)当時を知る人が少なくなり、出来事としての「ボパール事故」の伝承に限界があった

【徹底の限界】このように「ボパールの教訓」が机上のものになりつつある中で、安全基準の策定と施行はあったものの、現場での徹底は不十分となっていた。

3.歴史は繰り返すのか

事故というものが完全にこの世の中から消えることはないかもしれない。人間は再び同じことを繰り返すのかもしれない。ただ1984年(ボパール事故)と2020年(ビザカパトナム事故)の違いとして、我々は格段に異なる記録手段を手にしている。文章の形でも、映像の形でも、それ以外のファイルの形でも。今度こそ、「ビザカパトナム事故」の記憶を風化させずに、次世代への学びとして活かしていきたいものである。

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