【インド新規事業立ち上げ物語】(第167話)インド史上最悪の産業災害から40年


写真:Bhopal Medical Appeal, Martin Stott – https://www.flickr.com/photos/44868727@N02/14119398488/

※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ Goziokiでは「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の開発を進め、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動の後押しを目指している
※ インド現地での動きなどについては出張の総括動画をご参照

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サステナビリティや CSRを考えていく上で、過去の失敗についても振り返っていく必要はある。今回は、インド史上最悪の産業災害と言われる、1984年に起きた「ボパール化学工場事故」を見ていく。

1.概要

  • 【時期】1984年12月2日から3日にかけての夜
  • 【場所】インド、マディヤプラデシュ州のボパール
  • 【主体】本社をアメリカに置く多国籍企業ユニオンカーバイド(Union Carbide Corporation)が運営する農薬工場
  • 【事象】高度の毒性を持つ化学物質であるメチルイソシアネート(MIC)約40トンが貯蔵タンクから漏洩し、周辺地域に拡散
  • 【原因】安全基準の違反、設備の老朽化(メンテナンスの不足)、人員削減、訓練不足などが複合的に作用

2.被害

  • 【被害者数】 事故直後に約2,000人が死亡。その後数週間で死者数は増加し、長期的な影響で約15,000人が死亡したと推定されている
  • 【健康被害】50万人以上がガスに曝露され、多くが永続的な健康問題に苦しむこととなった。呼吸器系の問題、目の損傷、生殖器系の障害などが報告されている
  • 【環境汚染】土壌と地下水が化学物質で汚染され、長期間にわたって生態系と人間の健康に影響を与えた

3.出来事の影響

この事故は産業安全と環境保護に関する議論において重要な転換点となり、世界中の企業と政府に環境と職場の安全基準の見直しを促した。

  • ・化学工場やその他の危険物を取り扱う施設における緊急対策計画の策定
  • ・安全プロトコルの強化
  • ・事故発生時の迅速な対応
  • ・地域社会との透明なコミュニケーションの推進

インドでは環境保護法が強化され、事故発生後に「環境保護法(1986)」が制定された。またこの事故は、多国籍企業が発展途上国で事業を展開する際の責任とリスク管理に関する国際的な法規制の必要性を浮き彫りにした。

サステナビリティの追求は、自然環境を守るためだけのものではなく、結果として我々の生活にも直接的に影響を与えていくものであることを念頭に、向き合っていく必要がある。

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