【インド新規事業立ち上げ物語】(第165話)南北問題とモディ首相とBJP


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ Goziokiでは「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の開発を進め、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動の後押しを目指している
※ インド現地での動きなどについては出張の総括動画をご参照

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世界中のビジネスエリートに愛されるThe Economistの最新号では、インドが表紙に取り上げられている。テーマはインドの「南北問題」である。

https://www.economist.com/leaders/2024/02/29/india-could-be-ruined-by-its-political-and-economic-divisions

1.今のインドの3つの特徴

インドと言えば、GDP世界第5位の経済大国である。(そして第161話でも触れている通り、5年後には世界第3位になっている可能性が高い)

またインド言えば、モディ首相である。政権二期目(10年目)が終わりに近付いているが、今年の選挙で三期目(更に5年間)が実現することを疑う者は少ない。一方でモディ首相は「ヒンドゥー至上主義」的な発想を持っているため、宗教の多様性を尊重する観点から、この点が問題視されることがある。

そして最後に、インドと言えば「南北問題」である。富の多くは南部に集中していて、インド国内の北部と南部では経済格差が激しい。一方でモディ首相率いるBJP(インド人民党)がもっとも支持を集めているのは北部である。モディ首相は、経済的にはより存在感の大きい南部で、政治的にはより影響力が少ない。

2.インド南部の5つの州

インドには28の州と8つの連邦直轄領が存在するが、このうち、南部5州(アーンドラ・プラデーシュ州、カルナタカ州、ケーララ州、タミル・ナードゥ州、テランガーナ州)の存在感は凄まじい。この5州は国全体に対して、人口の20%、融資の30%、直近3年間の海外からの投資の35%を占めている。

またインドの南部は国全体のGDPの31%を占めていて、インドのユニコーン企業の46%を輩出している。

しかし、2023年5月のカルナタカ州の議会選挙で、BJPは大敗を喫しているのである。国全体では圧倒的な支持を集めるモディ首相であるが、南部におけるBJPの支持が限定的であることが浮き彫りになっている。

3.BJPは南部での支持獲得を狙うべき(?)

The Economistは、Hindutva(ヒンドゥー思想をベースとした考え方)を掲げ北部での支持集めに注力するモディ首相が、南部での支持獲得に対しても真剣に向き合うべきと提言している。南部でも支持が得られれば、労働や資源の最適配分を通じて、「規模の経済」の論理で国をより豊かな方向に導いていけるという発想である。

インドは公用語であるヒンディー語と英語に加え、22の憲法指定言語がある。ただ実際に国内で使用されている言語は数百にのぼると言われている。その中で、北部ではヒンディー語がしっかり根付いている一方、南部は英語、タミール語、各ローカル言語がより使われている。モディ首相とBJPが南部での支持を広げるためには、「ヒンディー語への固執」もやめるべきことのひとつとThe Economist記事は述べている。

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以上が記事の要約である。皆さんには今のインドはどのように見ているのだろうか?

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