【インド新規事業立ち上げ物語】(第142話)COP28でインドが発表した「グリーンクレジットイニシアティブ(GCI)」


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ 現在Goziokiでは「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の立ち上げ準備を進めている
※ ”SALSH”を通じて、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動を後押しすることを意図している
※ インド現地での動きについては出張の総括動画をご参照

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1.LiFEを受けて

前回の投稿では、2021年のCOP26でインドが「LiFE(Lifestyle for Environment)」を発表、それを受ける形で2023年10月には「グリーンクレジットプログラム(GCP)」と「エコマーク制度」の2つの具体的アクションが紹介されたことについて述べた。今回はその続きである。

2023年は先ほど触れた2つの具体的アクションに加え、COP28でインドは更に「グリーンクレジットイニシアティブ(GCI)」を発表している。

https://pib.gov.in/PressReleaseIframePage.aspx?PRID=1981719

2.カーボンシンク

「サステナビリティ」が何かについて改めて説明する必要はないと思うが、ここには環境保全、経済成長、社会的公平性など、多くの概念が包括されている。その内のひとつがカーボンの管理である。

「カーボン管理」には大きく2つ方法がある。1つは「削減」、もう1つは「吸収」である。例えば火力発電を水力発電に置き換えたとする。この場合、大気に放出される二酸化炭素の量が減るので「削減」と言える。一方で植林をした場合、その行為によって大気に放出される二酸化炭素が減る訳ではないが、植林をした木は二酸化炭素を「吸収」してくれる。

「カーボン吸収」と向き合う際に意識される時間軸としては、短期的なものと中長期的なものがある。短期的な時間軸を気にする人は、例えば早々にカーボンクレジットを創出して、収益を確定させたい。より中長期で捉えている人は、「サステナブルな環境を構築すること自体が、事業の継続的な利益創出に寄与している」と考える。

短期的な収益の追求ではない、中長期での「カーボン吸収」取り組みを総称して「カーボンシンク(二酸化炭素吸収源)」と呼んだりする。

3.GCI

冒頭に話を戻そう。インドがCOP28で発表したGCIは、カーボンシンクであり、中でも「水資源と植林」にその中身を絞ったものである。

これは二酸化炭素の吸収能力を高めるだけに留まらず、気候変動の緩和に寄与することで、生物多様性の保護や土壌侵食の防止、水循環の改善など、環境全体の健全性と持続可能性を向上させる効果がある。入口としては「カーボンシンク、中でも水資源と植林」とかなり絞り込んでいるが、結果的に得られる効果期待は「サステナビリティ全体」に及ぶものとなっている点が興味深い。

このように各種イニシアティブを発表するのは得意なインドであるが、では例えば「森林カーボン市場」の課題はどこにあるのか。そのよう課題の本質について、次の投稿では見ていきたい。

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