【インド新規事業立ち上げ物語】(第127話)アヨーディヤーの光と影


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ 現在Goziokiでは「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の立ち上げ準備を進めている
※ ”SALSH”を通じて、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動を後押しすることを意図している
※ インド現地での動きについては出張の総括動画をご参照

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1.アヨーディヤー

2024年1月22日、インド北部のアヨーディヤーでヒンドゥー教寺院の落成式典が行われ、モディ首相も参加した。インドは14億人の国民のうち、ヒンドゥー教徒が11億人を占めている。そしてアヨーディヤーは、ラーマ神誕生の地として、ヒンドゥー教の教えの中にある『聖なる七つの町』のひとつ。その地におけるこの盛大な式典は、ヒンドゥー教徒にとってはとてもめでたいものとなった。

一方でアヨーディヤーは、とても暗い歴史も抱えている。この地には、16世紀にイスラム教のモスク(寺院)であるバブリ・マスジッドが建てられた。ただこのモスクは1992年に「当時(1528年頃)そこにあったヒンドゥー教寺院を破壊した上で建てられた」と信じてやまない人たちによって破壊されてしまう。インドに2億人いると言われるイスラム教徒にとって、アヨーディヤーは「屈辱の地」でもある。

2.グジャラート

話を少し変えよう。2002年、インドの近代史においてもっとも悲しい出来事のひとつとされる「グジャラート暴動」が発生している。ヒンドゥー教徒によって、多くのイスラム教徒が被害を受けることになった。「そもそものきっかけはイスラム教徒側にある」というのがヒンドゥー教徒側の言い分になるが、経緯はともかく、結果として多くの人が犠牲になったのは事実である。

そして2002年当時、グジャラート州知事であり、その後「グジャラート暴動を止めようとしなかった」ことで告発されたのが、現首相のモディである。モディ州知事(当時)は証拠不十分により罪に問われることはなかったが、ヒンドゥー教至上主義的な考え方が明らかになった。

3.外から見たインド

インドを外から見る際、欧米的な観点でインドに対して「政教分離」を押し付けようとする人がいるが、私個人はそれは必ずしも正解とは思わない。「政教分離」はひとつの考え方として尊重する一方で、それがこの世の全てではないから。色々な考え方があって良いように思う。但し「宗教的中立性」は必要なように感じる。ヒンドゥー教徒が盛り上がるのは大変に素晴らしいことであるが、それによってイスラム教徒が迫害されることはあってはならない。

インドの宗教問題は常に人々の注目を集めるが、それすらもエネルギーに変えて、インドには世界の政治・経済を引っ張っていってもらいたい(そしてそれは日本の経済にとっても良いことである)。

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