【インド新規事業立ち上げ物語】(第93話)2024年インド総選挙と論点と “SALSH”


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ 現在Goziokiでは、「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の立ち上げ準備を進めている
※ ”SALSH”を通じて、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動を後押ししていくことを意図している
※ インド現地での動きについては、出張の総括動画をご参照

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来年、2024年、インドでは5年に一度の総選挙が行われる。インド人民党(BJP)が勝利し、党首であるモディ首相が3期目に突入するというのが大方の見方である。

1.経済課題と社会課題

他の国同様に、インドにも多くの経済課題と社会課題が存在する。経済課題に関しては、「貿易収支の改善」や「雇用創出」などが重要なポイントとなっている。社会課題はあまりにも多岐に亘るので一概には言えないが、ベースとして「格差解消」がある。尚、参考までに、ビル&メリンダ・ゲイツ財団はインドで優先的に取り組む社会課題として、①健康改善、②貧困層向けファイナンス、③衛生改善、④農業発展支援、⑤ジェンダー格差解消、を挙げている。

モディ政権が続く場合、「インフラ整備」「デジタル促進」「ビジネス環境整備」には引き続き注力していくものと思われる。他方で懸念されるのは、政権が取る可能性のあるヒンズー教至上主義的な態度である。モディ首相が「ヒンズー教至上主義」を明言しているのではないが、ヒンズー教徒による圧倒的な支持基盤を有するモディ政権は(※インドは国民の8割がヒンズー教徒、次いでイスラム教徒が14%を占める)、どうしてもこの文脈の中で語られてしまうところがある。

2.インドのポジショニング

インドが世界の中で存在感を発揮していく方法としては、「グローバルサウスのリーダー」のポジショニングが引き続き軸になってくる。

モディ首相と言えば「外交バランスの人物」である。アメリカともロシアとも近い。サウジアラビアともイランとも近い。イスラエルともパレスチナとも近い。一見すると「成り立たないのでは?」と思ってしまうような三角関係を次々と構築していく。

インドが「グローバルサウスのリーダー」でいられるのは、モディ首相の武器である「外交バランス」があってこそのことである。時には「八方美人外交」と揶揄されることもあるが、インドはもはや各国に愛敬を振りまくような立場ではない。今年の6月にモディ首相がアメリカに国賓として迎えられた状況が象徴的であるが、どちらかと言うと、今は各国がインドにすり寄っていきたいのである。

インドは様々な国との色々な関係があるが、エネルギー資源の純輸入国としての、中東におけるアラブ諸国との関係性にも注目しておきたい。

3.CSRと”SALSH”

最後に”SALSH”を掲げるGozioki社としては、インドのCSRやサステナビリティに関わる動向を考えたい。インドには、特定の条件下で企業が利益の2%をCSR目的で拠出することを義務付ける「CSR 2%ルール」の法律が存在する。

この法律・考え方は今後も存続すると思われるが、SDGsやESGとの関連性も踏まえ、CSR拠出額がどのように扱われていくのか(国に対するレポーティング含め)など、制度は更に進化していく可能性はある。このあたりはしっかりとフォローを続けたい。

また、CSR向けに拠出される費用が増加し続けることで、CSRプロジェクトを運営するインドのNGOは新たな挑戦に直面するかもしれない。「取り組み案件の種類」や「NGOが果たす役割」に基づく棲み分けや淘汰が考えられる。

日本企業の立場では、現在の日印関係が良好であることも踏まえると、インドに対する中長期戦略をローンチするのには絶好のタイミングと言える。

来年の選挙結果がインドを益々前に進め、日本との間での取り組み拡大に繋がることを願いつつ、状況を見守っていきたい。

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