【インド新規事業立ち上げ物語】(第70話)「制度リスク」という名のチャンス

  • ※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
  • ※ 現在Goziokiでは、「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の立ち上げ準備を進めている
  • ※ ”SALSH”を通じて、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動を後押ししていくことを意図している

+++++

1.制度リスク

私は若い頃から排出権取引のビジネスに携わってきた。その経験から、「制度リスク」を強く警戒するようになっていった。

例えば、明日この世の中から全ての自動車が消えてしまうことはない。ということは、明日突然「ガソリンの需要」が消えることもない。もちろん戦争などが原油高を招き、明日突然「ガソリン価格」が高騰する可能性はある。ただそれでも明日も地球のどこかで誰かが自動車に乗る訳で、やはり「ガソリンの需要」が急に消えることはない。

私が排出権取引に携わり始めた頃、排出権の運用は、国連傘下のUNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)によって定められていた。今でもそうであるが、排出権というもの自体がルールの上に存在している。つまり、ルールが変われば、明日突然に消滅してしまうことが理論的には有り得るのである。

2.サステナビリティ

Goziokiが”SALSH”を担いで取り組もうとしているサステナビリティも、少なからず「制度リスク」を抱えている。

もちろん「大切な地球を守る」「地球との共存」といったことが大命題としてはある。但し、各論としては海外で先行して始まっている議論であるScope3であったり、日本でも今年から強化されている有価証券報告書上の開示義務であったり、「制度」を起点に物事が動こうとしている。

今日正しいとされる運用が、明日には誤りとなっている可能性はある。

このように「制度」の上で取り組もうとすることにはリスクが伴う。但し、仮に「世界はサステナビリティ経営に向かっていっている」という大きな方向性を信じることができるなら、今の状況はチャンスとも捉えられる。

3.ルールとは作るもの

よく日本人と日本以外の人を比較する上で言われることがある。日本人は「ルールとは守るもの」と思っている。他の国では「ルールとは作るもの」と思われている。誤解がないように補足しておくと、「ルールとは守るもの」と思っていないからといって、「ルールとは破るもの」と思っている訳ではない(日本だと誤解されがち)。

「ルールとは作るもの」と思っている人たちは、何も考えずにただ与えられたルールを守るのではなく、「今あるルールは実態と照らし合わせたとき、本当にベストなものなのか」を考え続けている。

そしてこのマインドセット(「ルールとは作るもの」と思うこと)こそが、『サステナビリティ経営』の時流に上手に乗っかっていくために必要なのではないだろうか。もちろん国の法律があり、有報上の開示義務があり、株主からのプレッシャーがある。と同時に、誰よりも先にアクションを起こすことでデファクト・スタンダードを作りやすい環境があるのも事実。

サステナビリティとは何か?どこまで対応すれば十分なのか?正解はないが、目指す先はある。そして我々には「行動力」という武器がある。

最後に、ドクター・スースの「きみの行く道」より有名な以下の文章を引用をしたいと思う。

“You have brains in your head. You have feet in your shoes. You can steer yourself any direction you choose. You’re on your own. And you know what you know. And YOU are the one who’ll decide where to go…”
― Dr. Seuss, Oh, the Places You’ll Go!

#インド #India #新規事業 #新規事業立ち上げ #インド新規事業立ち上げ物語 #第70話 #ベンチャー #ベンチャー経営 #ビジネス #business #Gozioki #環境問題 #環境教育 #サステナビリティ #sustainability #サステナビリティ経営 #サステナビリティ教育 #教育 #education #資金調達 #SALSH

<過去記事>
【インド新規事業立ち上げ物語】(第68話)Goziokiが信じていること

【インド新規事業立ち上げ物語】(第57話)『サステナビリティ経営』急拡大のTipping point

【インド新規事業立ち上げ物語】(第30話)改めて「Why India?」を考える
【インド新規事業立ち上げ物語】(第26話)インドのCSR概念を変えた日本人
【インド新規事業立ち上げ物語】(第6話)ビジネスアイディアに価値はない