【インド新規事業立ち上げ物語】(第90話)インドの「カースト制度」が「経済成長」に与える影響


※ CEOブログの一環としてGozioki代表の吉田が執筆
※ 現在Goziokiでは、「サステナビリティ教育・支援プラットフォーム」である”SALSH”の立ち上げ準備を進めている
※ ”SALSH”を通じて、日本企業の『サステナビリティ経営』やCSR活動を後押ししていくことを意図している
※ 直近のインド現地での動きについては、出張の総括動画をご参照

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1.カースト制度に対する理解を深める

インドについて考えていくに当たって、避けては通れないのが「カースト」と呼ばれる身分制度である。私自身、おそらく今この文章を読んでいる皆さん以上に「カースト」に詳しいということは決してないのだが、できる範囲で色々と考えていきたい(そして今後はもっと詳しくなっていきたい)。

大前提として押さえておくべきポイントはまず次の2点になる。

  • • インドでは、カーストに基づく差別は法律で禁止されている。
  • • インドでは、カーストの存在自体が禁止されている訳ではない。

そしてもちろん法律で差別を禁止したとしても、歴史的な経緯がある中では、身分に基づく優越感や劣等感を払拭することは中々難しい。

また実態としては、「カースト」は「職業の違い」の形でもっとも現れやすい(と私は理解しているが、間違っているようであれば是非正してほしい)。先祖代々で自動車の運転手を務めている人、先祖代々でタージマハールの門の開け閉めをしている人、そのような人たちの存在を耳にすることがある。

2.インド経済

インドの「カースト」は、経済成長に対する影響の観点で話題になることがある。「カースト」の存在がインドの経済に対して与えるメリットとデメリットは、厳密に定量化できるものではないが、「総合的にはマイナス影響の方が多い」と評価されることが少なくない。

【課題1】労働市場の分割

  • どうしてもカーストに基づく「区分」ができてしまうため、労働力や投資がもっとも効率的な形で機能しないといったデメリットが考えられる。

【課題2】教育とスキル開発

  • 歴史的に低カーストの人々は教育へのアクセスが限られてきた。この「負のサイクル」から脱却するのは簡単ではなく、(課題1にも通ずる話であるが)学習や就労の機会平等が実現されない。

上記は問題の本質となる部分である。一方で、同じカーストコミュニティー内での連携・支え合いなど、ポジティブな面が指摘されることもある。

3.この先

歴史的な背景を持つ「カースト」はインドから消えるものではないが、「文化」であることを考えると、なくなる必要もないのではないかと個人的には考える。

日本の学校が4月入学となっているのと同じ話であり、中国が旧正月中に工場を稼働させないのとも同じ話である。グローバル社会では、各文化を尊重することがスタート地点になる。

なのでカーストは「解決すべき課題」というよりは、「付き合っていくべき文化」との理解であるが、奥深い国インドの動きにしっかりと付いていきたい立場としては、今後さらにしっかりと「カースト」と向き合っていきたい。

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