【CEOブログ】明日、緊急事態宣言が出る。

2021年が始まりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今年最初の投稿は、新型コロナウイルスに関連して。

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1.現状

コロナ禍にあって、昨年の5月と7月にも「記録」の意味で関連投稿を記してきた。
2020年5月の記録
2020年7月の記録

日本では、昨年の4月7日から5月25日までの期間に「緊急事態宣言」が出されている。また国内感染状況としては、昨年の4月(第1波)、7月(第2波)に続く形で、11月以降から現在に至るまでが「第3波」と呼ばれ、一日当たりの感染者数ではこれまでの記録を更新し続けている(以下グラフ参照)。

出典:JHU CSSE COVID-19 Data

その中で、日本政府は2021年1月7日に、東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県を対象とした緊急事態宣言を出すことで調整している。

2.「感染リスク」と「重症化リスク」

昨年、緊急事態宣言が発出される少し前の3月末から4月頭にかけて、「なぜ日本政府は早く緊急事態宣言を出さないのか?」と、政府が迅速に対応することを求める声が経済界を中心に多く聞かれた。2021年1月現在、感染者数の観点では昨年よりも状況が悪化しているのにも関わらず、緊急事態宣言の発出を求める声は経済界からは聞こえてこない(医療現場などからは聞こえてくる)。

なぜ昨年と今年で異なる対応を示す人たちがいるのか。ひとつは、昨年の緊急事態宣言を通じて、経済への影響を身をもって感じたことが挙げられるであろう。もうひとつは、新規感染者数が増えているが、重症化リスクや死亡数には年齢別の偏りがあることが、積み上がる統計データの中でより鮮明になってきたためであろう。

但し、重症化リスクの低い若い世代から重症化リスクの高い世代へ感染を広めてしまう可能性があるので、感染者数自体を抑えていく必要性も主張され続けている。以下で、新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身会長のコメントが確認できる。
https://youtu.be/mCXQ02QZqxM

3.リーダーシップ

コロナ禍では、各自治体、特に都道府県知事のリーダーシップ資質が大きく問われている。東京や大阪のように、経済規模が大きく自ずと注目を集める地域がある一方、北海道知事のように積極的且つ迅速な対応を通じて、ポジティブな意味で着目されるリーダーもいる。

今年の1月2日に東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県の知事は西村経済再生担当大臣に緊急事態宣言の発出を要請している。このような東京都・小池知事の動きは、知事が先行して強化できる規制もある中では、「国に対する責任転嫁」と一部の人には映ったようである。もちろん、世界最大のメガシティである東京が、その影響力の大きさから、周囲と歩調を合わせた上で決断を行いたいことも理解できる。

4.東京オリンピック

昨年の3月末、『東京オリンピック2020』の開催一年延期が政府から発表された際には、「非常に良い判断」と感じた。延期されたことや、延期期間が一年であることに対してそのように感じたのではなく、(その時点で)この先日本政府が数多くのコロナ対策を打っていかなければならいことが見えていたので、「オリンピック開催可否判断」という課題を一早く「やることリスト」から追いやった点に対する評価である。しかしこれは先行きが見えない中での判断であり、事実上の暫定対応でもあった。

そうこうしている内に、年は変わり2021年となり、新型コロナウイルスの感染状況はオリンピックの延期を決定した頃よりはるかに悪化している。昨年の3月末に、「2020年中にオリンピックは開催しない」と決定していることから考えると、2021年にオリンピックが本当に実現できるのか否かの判断は今年の3月末になろうか。となると、日本のこの先2-3ヶ月間の動き方で状況は大きく左右される。

オリンピックを開催して外国人選手や応援団を受け入れる準備が日本としてあるのか。逆に外国人選手や応援団から見て、日本は入国したい国であるのか。その時に日本の国民感情はどのように動くのか。オリンピックの華々しい舞台までの道のりはまだ遠いように思う。

5.これから一年

「2021年は2020年よりは良くなる」と多くの人が、期待も込めて、これまで考えてきたのではないだろうか。私自身も、昨年の第2波が落ち着いた時点で「最悪は脱した」となぜか感じてしまっていた。ただ現実は甘くなく、新型コロナウィルスが収束することなく、北半球は再びウイルスにとっては好都合の冬を迎えている。

日本は現在、新型コロナウイルスの感染者数及び重症者数からすると過去最悪の状況にある。他方、感染対策や自粛が長引く中で、少なからず(尾身会長の言うところの)「コロナ慣れ」の状態に我々はなってしまっている。私の周りには「経済が2019年水準まで回復するのは2023年」と述べる人がいるが、仮にこれが正しいとすると、2021年と2022年はまだ我慢の時期である。特に2021年は、2020年とそう大きく変わらない現状が待ち受けているのかもしれない。

新年早々に悲観的なメッセージを届けたいのではなく、目の前の状況に対して自分たちで勝手に期待値を上げ過ぎないことで、状況を乗り越えるために十分な忍耐力を保持できるのではないかと考えるものである。

そして明日、緊急事態宣言が出る。