【CEOブログ】インドネシアG20サミットについて分からないこと #043

今年11月にインドネシアのバリ島で、G20首脳会議(G20サミット)が開催される予定である。今年の7月には同じくバリでG20外相会合が既に開催されているが、各国トップが一同に会する11月の会議は更なる注目を集めることになる。

1.中国とアメリカ

中国の習近平国家主席は、2020年1月以降、中国から外に出ていないとされている。2022年7月には香港で開催された式典への出席が確認されているが、その際も香港には宿泊せず、その日のうちに中国本土に戻っている。仮に習近平国家主席が11月のG20サミットに出席した場合、久しぶりの中国外での活動となる可能性が高い。またそのタイミングでアメリカのバイデン大統領との会談が実現すると、バイデン氏の大統領就任以降初となる対面での米中首脳会談となる。

今年の秋には中国で、5年に一度の中国共産党全国代表大会が開催される。習近平氏はそのタイミングで2期(10年)満了を迎えるが、力尽くで3期目入りを果たそうとするのかどうかが注目されている。

また今年の秋にアメリカでは、中間選挙が実施される。2年前に大統領に就任したバイデン氏(民主党)の中間評価とも受け取れるこの選挙は、前大統領であるトランプ氏(共和党)の2024年大統領選への出馬にどのような影響を与えるのかという点でも重要な意味を持つ。

党大会を実施する中国、中間選挙を迎えるアメリカ、両国トップ対面での首脳会談が実現する可能性のあるG20サミット、一連の動きからは目が離せない。

2.ロシアとウクライナ

ロシアとG20サミットを考えるとき、気になるのは以下の点である。

・ロシアのプーチン大統領はG20サミットに出席するのか
・プーチン大統領がG20サミットに出席する場合、どこの国々が参加をボイコットするのか
・ウクライナのゼレンスキー大統領はG20サミットに招待されるのか(そして出席するのか)
※ウクライナ自体はG20加盟国ではない

G20サミットの場でプーチン大統領とゼレンスキー大統領の会談が実現するのであろうか。そもそもインドネシアが「非同盟主義」であることで、ロシアとの関係を悪化させずに済んでいる。その意味で、インドネシアだからこそ、プーチン大統領をG20サミットに参加させられる可能性があることを忘れてはならない。

2021年から続く「世界的なインフレ」、今年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降の世界課題としての「エネルギー(天然ガス供給)問題」と「食糧危機」。G20サミットは、これらの課題に変化を及ぼすきっかけとなるのか。

3.インドネシア

ここまでグローバルな課題について述べてきたが、1つインドネシア国内の問題も取り上げたい。インドネシアは、二年後に迫るジョコ大統領の退任、首都移転問題(本当に首都をジャカルタからボルネオ島東部のヌサンタラに移転できるのか)、今年輸出制限とその後の解禁で特に注目を集めたパーム油と、着目すべき事柄は多数あるが、ここでは「医師不足」を見ていきたい。

世界銀行が発表している「国民千人あたりの医師数」は次の通りとなっている。対象となる年度にバラつきがあるので、比較としては多少不正確であるが、概略は掴める。

  • 【フランス】6.5人(2018年)
    【イギリス】5.8人(2019年)
    【アメリカ】2.6人(2018年)
    【日本】2.5人( 2018年)
    【シンガポール】2.3人(2016年)
    【中国】2.0人(2017年)
    【マレーシア】1.5人(2015年)
    【インド】0.9人(2019年)
    【ベトナム】0.8人(2016年)
    【ミャンマー】0.7人(2019年)
    【フィリピン】0.6人(2017年)
    【インドネシア】0.5人(2019年)
    【カンボジア】0.2人(2014年)

出典:Physicians (per 1000 people) – World Bank Data
https://data.worldbank.org/indicator/SH.MED.PHYS.ZS

インドネシアを構成する島の数は1万7千とも1万8千とも言われ、その数は世界一である。そのような移動や通信に影響を受けやすい国土に於いて、上記にあるような圧倒的な医師数の不足が発生している。医療はいつでも人々の生活に直結する重要なライフラインであるが、『遠隔医療』こそが今後インドネシアを救っていくのであろうか。「インドネシアと言えば医師不足」という感覚を持っている人はあまり多くないのではないかと思い、この場を借りてこの問題点をハイライトさせてもらった。

4.分からないこと

・今年11月にバリで開催されるG20サミットに中国の習近平国家主席は出席するのか
・ロシアのプーチン大統領はG20サミットに出席するのか
・今年のG20サミット開催は世界に何か変化をもたらすことができるのか

これらの問いに対する回答を私は持ち合わせていないが、G20サミットが今年もっとも注目すべき会議のひとつになることは間違なさそうである。

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関連投稿:【CEOブログ】1万6千を超える島からなる国インドネシアとは(2019年12月1日記事)
https://gozioki.com/2019/12/982/