【CEOブログ】いま世界では何が起きているのか?(2020年5月編)

今日は「いま世界では何が起きているのか?」の第2弾であります。今回も日本経済新聞社と日本経済研究センター開催の「景気討論会」でのコメント踏まえ、「新型コロナウィルスと世界経済への影響」を見ていきたいと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59777610Z20C20A5EA2000/

前回の内容は以下よりご確認いただけます。
https://gozioki.com/2020/01/998/

1.サプライチェーンの分断

新型コロナウィルスが経済に与える影響を考えたとき、「人の動きが止まる」ことが何よりも大打撃であり、これは「サプライチェーンの分断」を意味するものでもある。この状況を踏まえ、WTO(世界貿易機関)は、世界の貿易が今年13%〜32%減少すると予測している。
https://www.wto.org/english/news_e/pres20_e/pr855_e.htm

またこの先の景気回復に関しては、「SWOOSH RECOVERY」と言われている。これは想定される景気回復のグラフが、NIKEのロゴ「スウッシュ」のような曲線を描いていることから来ている(以下の記事にあるグラフ参照)。
https://www.wsj.com/livecoverage/coronavirus-2020-05-11/card/jSo5e2vu9rxnfYrtcHKm

「自粛をすると経済が停滞する」と言われるが、人命は大事であり、「自粛」と「景気」がトレードオフの関係にあると捉えるのは正解ではない。ある程度の自粛を「制約条件」と捉えるのが今後の在り方となる。

2.金利は下がる

金融面での影響では、これまで「ドル高」の状態が続いていたが、米国経済が弱まると「ドル安」、即ち他の国にとっては「自国通貨高」になる。

「超」長期停滞論を主張する人もいるが、全世界的に景気の悪化が長引くことで金利の低下を招く。そして長期停滞を通じて民間貯蓄も増えるので、これが更に金利低下に拍車をかける。日本の「自然利子率」はゼロと言われているが、この先金利の低下を通じてはこれがマイナスに転じることになる。
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/si/A02058.html

3.デジタル後進国:日本

今回(コロナ禍で)特に浮き彫りになったのが、「デジタル後進国」としての日本。リモートワークへの移行が未だに遅れている企業もある。尚、日本はIMDによる「デジタル競争力ランキング」世界23位であり、国としてのデジタル促進に於いては中国よりも遅れている。
https://www.imd.org/wcc/world-competitiveness-center-rankings/world-digital-competitiveness-rankings-2019/

4.これから求められるもの

これから経済は「グローバル化」から「ローカル化」へ向かい、そしてDeglobalization(ディグローバリゼーション)、Decoupling(ディカップリング)の世界へと益々入り込んでいく。ディカップリングについては、以下リンク先も参照。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/greenenergy/green_growth_strategy/decoupling/index.html

投資に於いてはESG(環境・社会・ガバナンス)が再度注目されることになる。これまでESGは「E(環境)」に重きが置かれるものであったが、今後は「S(社会)」の比重が大きくなる。
https://www.esg.adec-innovations.com/about-us/faqs/what-is-esg/

新型コロナウィルス及びそれに伴う自粛生活の中で、我々は「健康」がとても大切であり、これが直接的に「経済」に影響を与えることを理解した。職場の安全性、働き方、といったものが、大義名分ではなく本質的な意味を持つことになる。

リモート・インテリジェンス(Remote Intelligence)や、人口知能(Artificial Intelligence)といったものが促進され機械の果たす役割が増える中で、我々人間はソーシャル・インテリジェンス(Social Intelligence)を磨くことが求められていく。