【CEOブログ】いま世界では何が起きているのか?(2020年1月編)

今日は「いま世界では何が起きているのか?」についてであります。2020年1月27日に開催されました、日本経済新聞社と日本経済研究センター開催の「新春景気討論会」に参加しまして、そこで聞いた内容を中心に書いていきたいと思います。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54896160X20C20A1EA2000/

以下は、登壇者の所感を述べるものとなっています。

1. 世界経済

1) 米国大統領選挙
今年注目すべき動きのひとつがアメリカの大統領選であります。仮にトランプ現大統領が再選されれば、アメリカと中国の緊張関係は続く可能性が高く(今年1月15日に米中経済貿易協定が締結されてはいますが)、世界経済にも影響を及ぼします。一方で、民主党が勝利してトランプ氏が再任されなかった場合、中国・北朝鮮・イランなどに対する牽制が弱くなり、逆に混乱が増すのではないかとの見方もあります。

2) 「ブロック化」する経済
グローバリゼーションを推し進めた結果として格差が広がり、その反動としてのポピュリズムが台頭し、現在では経済が「ブロック化」する動きがあります。これは経済を自己完結できるほどの規模を有する国家が孤立化していく状態を指します。経済が「ブロック化」すると貿易量は減ります。またその中でサプライチェーンの見直し、地産地消商売の拡大、といった動きに繋がってきます。

3) デジタルトランスフォーメーション(DX)
ビジネスの現場ではデジタルトランスフォーメーションが進みます。単純労働から順番に、人間の関与が不要になってきます。人間の果たす役割、求められる機能はどんどん変わりますし、その中で企業としては人材の流動性を高めていくことになります。人材の流動性を高める過程に於いては、外国人材の活用も進めていくことになります。

2. 地域毎の動き

1) 東京オリンピック
「2020年東京オリンピック」に向けては建設・建材・建機といった産業は盛り上がっています。また日本で瞬間的なインバウンドは増えるので、「インバウンドをキープできるか」、その際に単に物が売れるということではなく「地域としてのマネタイズスキームを確立できるか」が問われます。東京オリンピック自体も重要でありますが、経済成長の観点からは「注目を浴びている間に良質な仕組みを作り上げられるか」がポイントとなります。(2020年1月27日時点での見立て)

2) 米ドル依存 – 岩田一政氏見解
ここ10年ほどは購買力平価説が効かなくなってきていて、金利の動きが為替に影響を与えづらくなっています。理由は発展途上国による米ドル依存の高まりです。金利動向に関わらず、米ドル保有が続くので、結果として「ドル高」状態が持続されます。「ドル高」は逆に言えば「自国通貨安」を意味していて、これは輸出力強化に繋がるので、発展途上国に於いては良いことと捉えられるかもしれません。しかし発展途上国は米ドル建債務を多く抱えているケースが多く、「ドル高」が続くことで借金がいつまでも返せないとなれば、「ドル高」がトータルではマイナスの影響を与えることもあります。

3. トピックス

1) 2019新型コロナウィルス 【注】2020年1月27日時点での見立て
2019新型コロナウィルスは2003年のSARSとの比較で語られることが多いです。SARSの場合は致死率が10%ほどで、約半年に亘り蔓延が続きました。2019新型コロナウィルスの場合、現時点での致死率は3%ほどとされています。SARSよりは威力が弱く、蔓延も半年は超えないとの見方があります。

2) Green Swan
特に衝撃が大きく且つ事前予測の難しい「金融リスク」をBlack Swanと呼ぶことがありますが、BIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)レポートの中にGreen Swanという言葉が登場しています。これは特に衝撃が大きく且つ事前予測の難しい「気候変動リスク」を指すものになります。直近ではオーストラリアの山火事が大きな問題となっていますが、気候変動によって引き起こされる様々な問題が残念ながら今年も続いていくと思われます。

3) 「6G」と「量子コンピューター」
10年後、2030年ともなれば「6G」そして「量子コンピューター」の世界になります。ただし2030年にしっかりとこの領域で勝ち組国になるには、今の時点で積極的な研究開発を進めている必要があります。「5G」で完全に米中と比べ出遅れた日本がいま注力すべき領域となります。